みんなの敵「に」と「で」
いや〜〜〜
もう聞き飽きた、
日本語教師なら誰でも聞かれる質問。
私の個別レッスンではもう100回聞かれた。
「に」と「で」の違いってなんですか?
・日本に住んでいます。
・日本で働いています。
これ、別に日本語に限られた話でもないんです。
英語には「in」と「at」ありますよね、使い分けの定義はみんな曖昧だと思うけど…。
ましてやチェコ語には「v」と「na」と「u」まである。3つもある。
私も理屈から勉強してようやく使い分けできるようになりました。
とにかく、これを「日本に働いています」なんて言ったら、通じるけど違和感が残る。(専門用語で「ローカルエラー」)
避けては通れない課題というわけです。
じゃあまず例文を提示するので、なんとなくどこが違うか考えてみましょう。
・台所でケーキを食べた。
・携帯は机の上にあります。
・ここに座ってもいい?
・バスで通話してる女子高生ちょっとうるさい。
・コンビニでアイス買ってきて。
・ハワイに住んでるなんて羨ましい。
はい。
まず、日本語母語話者なら、普通にササーっと読むだけじゃ「に」と「で」の違いになんて目もくれないと思いますが、一応解説します。
「に」:存在の場所・位置を表す。
つまり、うごかない。
Place + に + います。あります。住んでいます。
それ以外の動詞は、だいたい「で」を使う。
まずこれだけ覚えさせれば、この問題はなんとかなります。
Place + で + します。飲みます。食べます。働きます。教えます。聞きます。踊ります!!!
ね。簡単デショ。
なあんだ。
じゃ、お疲れ様でーす。
・・・
この時、生徒さんはまだ誰も気付いてなかった。
「に」には8つ、「で」には5つくらいの用法があるということを。
みんなついてきてネ。
「に」
1)存在の場所
ここにカメラがあります。(オッケー、さっきやった)
2)時間
3時に迎えに来て!
3)移動 -> 到着点
馬に乗る。ぴょん。(大丈夫、移動するイメージね)
4)動作・作用の対象または相手
友達にお花をあげた。(オッケー、まだなんとか分かる)
5)動作・作用の源
友達にプレゼントをもらった。(ここで学習者の手が止まる)
「先生ちょっとまってください!「〜にもらう(From)」と「〜にあげる(To)」が同じ格助詞なわけ…!!
みんな、英語で考えてはいけません。Don't feel, Think...
どんどん逝くよ!!!
6)移動の目的
お花を買いに行きます。(マジか、動詞が乱入してきた)
7)基準
1ヶ月に1回は旅行したい。(私も旅行したい)
8)原因・結果
ローンの支払いに限界を感じています。(原因)
試験は不合格に終わった。(結果)
チーン
疲労困憊の学習者に追い討ちをかけるようなラストの例文、ひどいよ先生。。。
(上記の文、「学習者に追い討ち」の「に」はどの用法でしょうか!?考えるのも嫌になりますね)
「で」の用法もこんな感じでだいたい5つくらいあります(なげやり)
でも日本語の先生は、こんな風には教えませんよ。上記の話はフィクションです。
みんなと少しずつ少しずつ、そう、半年から1年くらいかけて、読解教材を使ったり作文を書かせたりして、
ちょっとずつちょっとずつ、教授してゆくのです。
ただ、ネイティブと違って「感覚」ではなく「理屈」で教えなければならないので、
学習者さんのストレスになることもしばしば。
それでも日本語学習を投げ出さず、1年も2年も、もしかすると何十年も、日本語と向き合い続けている学習者さんはすごい。
私も一緒にがんばらねば!
いつか「に」と「で」の違いになんて目もくれないで、スラスラと話せるようになる学習者さんの姿を夢見て、私も日々奮闘するのであった。
続(いい話や)